新卒社員にとって、住民税の仕組みを正しく理解しておくことは非常に重要です。入社1年目は前年の所得がないため住民税は課税されませんが、2年目以降は前年の収入に応じて徴収されます。
また、1年未満で退職した場合でも、前年の収入分の住民税の支払い義務が発生する可能性があります。
この記事では、新卒社員が住民税について知っておくべき基本的な事項と、1年未満退職時の具体的な取り扱いについて詳しく解説します。
新卒社員の住民税の基本
新卒社員が住民税について知っておくべき基本的な事項をご説明します。
入社1年目は住民税の徴収なし
新卒社員の入社1年目は、前年に給与所得がないため、住民税の特別徴収の対象とはなりません。つまり、入社した年の給与から住民税が天引きされることはありません。
ただし、入社前にアルバイト収入などがあった場合は、その分について申告と納税が必要となる可能性があります。
入社前のアルバイト収入については、入社後に会社の年末調整時に源泉徴収票を提出する必要があります。
入社2年目から住民税の特別徴収開始
入社2年目になると、前年の給与所得に基づいて住民税が給与から特別徴収されるようになります。通常は6月の給与から天引きが始まり、翌年5月まで徴収が続きます。
住民税は所得割と均等割の2つから構成され、自治体によって税率が異なります。したがって、入社2年目の手取り額は1年目と比べて減少する可能性があります。
社会人2年目以降は必ず納税義務が発生するため、財布の紐が固くなることを覚悟しておく必要があります。
新卒社員の1年未満退職と住民税
新卒社員が1年未満で退職した場合、前年の所得に基づいた住民税の支払い義務が発生する可能性があります。退職時期によって取り扱いが異なるため、注意が必要です。
退職時の住民税の取り扱い
新卒で1年未満の退職時における住民税の取り扱いは、以下のようになります。
- 1月〜4月退職: 退職月までの住民税が一括徴収される
- 5月退職: 5月分の住民税のみが徴収される
- 6月〜12月退職: 退職月の住民税は天引き、残りは普通徴収になる
6月以降に退職した場合、本人の希望があれば、残りの住民税を退職金から一括で支払うこともできます。
転職先での住民税の取り扱い
退職後に転職先が決まっている場合は、給与所得者異動届出書を提出することで、転職先での特別徴収を継続できます。
ただし、手続きに時間がかかる可能性があるため、一時的に普通徴収となることもあります。
転職後は、前年の高い収入に基づいて住民税が課税される可能性があります。
一方で、収入が大幅に減少しても、住民税の減免制度はほとんどありません。
このため、退職時期や転職後の収入変動を見据えた上で、住民税の支払いについて事前に確認しておく必要があります。
退職金と住民税
新卒で1年未満で退職する場合、退職金の支給有無は会社によって異なります。退職金が支給される場合は、その金額から住民税を一括で支払うことができます。
ただし、退職金から住民税を支払った場合でも、所得が減少すれば翌年度の住民税が減額される可能性があります。
退職後の収入見通しに合わせて、適切な住民税の支払い方法を検討することが重要です。
特別徴収と普通徴収の違いは
両者の違いとしては住民税(市町村民税・都道府県民税)の納付方法にあります。
特別徴収とは?
給与から天引きされる納付方法です。
- 会社(事業者)が従業員の給与から住民税を毎月天引きし、代わりに自治体へ納付します。
- 6月から翌年5月までの12回に分けて支払います。
- 会社員、公務員などが対象になります。
メリット
- 毎月の給与から自動的に引かれるので手間がかかりません
- 1回あたりの負担が分散されます
デメリット
- 退職すると残りの住民税を一括で払う可能性があります
- 転職時に手続きが必要です
普通徴収とは?
自分で住民税を納付する方法です。
- 住民税の納付書が自治体から送られてきて、自分で金融機関やコンビニ、口座振替などで納付します。
- 6月、8月、10月、翌年1月の年4回に分けて支払うのが一般的です。
- 自営業者、フリーランス、年金受給者などが対象になります。
メリット
- 収入のタイミングに合わせて支払い計画を立てやすいです
- 退職や転職時の手続きが不要です
デメリット
- 自分で納付管理をする必要があります
- 期限までに納めないと延滞金が発生する可能性があります
総括:新卒者が一年未満で退職した場合の住民税
新卒社員にとって、住民税の仕組みを正しく理解しておくことは非常に重要です。入社1年目は住民税が課税されませんが、2年目以降は前年の収入に応じて徴収されます。
また、1年未満で退職した場合でも、前年の収入分の住民税の支払い義務が発生する可能性があります。
退職時期によって住民税の取り扱いが変わるため、事前に確認しておく必要があります。
転職先が決まっている場合は特別徴収の継続手続きを行い、決まっていない場合は普通徴収での支払いが必要になります。退職金から一括で支払うこともできますが、翌年度の住民税額が変動する可能性もあります。
新社会人は、早期から住民税の仕組みを理解し、適切な支払い方法を検討することが重要です。収入の変動に合わせて、柔軟な対応ができるよう心構えをしておきましょう。